三重県のビートメーカー【UC Beats】の今年2022年5月に配信にてリリースしていたアルバム【MAGIC RUMB ROOM】が、ボーナス曲1曲をプラスし、待望のフィジカル化(9曲入りCD)です!
以下、TEXT by GINMEN
売れる気があっても売る気がないと駄目プロモーション、ブッキングマネージメント、パブリックイメージの植え付け等、未だ世間に認められていない音楽家にはとても大事な"音楽以外"のたくさんの要素。それはいずれ、ライムやビートに取って代わり"ビジネス"になっていく。所謂、"一握り"に入る為に大半の奴等が二番煎じの真似事を繰り返す中で、反商業、反大勢、 反政府と様々なアンチテーゼを鳴らし続ける奴等や、唯一無二のオリジナルも居たりなんかするもんだから、リスナーとしてはその混沌の渦の遠心力を存分に楽しんで来た。結局、どれだけ悪ぶってみても、変態ぶっても、真面目でも、犯罪者でも、どんな聖人だろうとピュアな"音楽"や"言葉"の前には全員ひれ伏し、昂揚し、踊り狂うものだなぁ。と、若輩なりに感じ、私なりに確信がある。本作"MAGIC RUMB ROOM"が、ピュアな音楽作品で、あなたのハートを射抜き深く刺さる作品だと伝えたいわけじゃない。 どちらかというと、曇りガラスの奥で揺らぐ濁った水のような、得体の知れない作品なのだ。 それはRUMBLE RECORDS自体の極端な情報量の少なさに、本作の主犯であるUC BEATSの極端な出不精が相まって織りなす妙に癖になる世界観が亜空間エフェクトをかけているからである。事実、彼のスタジオに訪れた者は、漏れなく現実世界とは違う時間軸で時が進んでしまい帰ろうにも帰れなくなる不可思議な現象に見舞われる事になる(かく言う私もその一人である)。そんな制作現場で産み出された本作は近年急増した所謂、BEATMAKERの作品とは一味違う趣きがある。インスト無し、ド直球のラップアルバム。8曲全てが聴きどころであり、曲の解説など野暮の極み。 冒頭に記したように、大々的なプロモーションはしていないし、関わっている全員がSNSにも不 向きでわがままな音楽家ばかりなので、"売れる"ラップアルバムでは無いのかもしれない。しか し、それ故に感じられる純粋な音楽愛、RAP愛、HOOD愛に満ち満ちた作品だと言い切っておく。
良いか悪いかで言うのは簡単。
間違いなくとても格好良いラップアルバム。
御宅並べる前に一回爆音で聴いてくれ。
無眠谷から心を込めて。
Jack"G"kerouac.
-TRACK LIST-
1. possi / hekondadeko
2. レイラ、それは童貞の夢 / 破壊王英亜
3. 下右下右+Y / 素麺酔
4. まっくろくろすけ / ALCI
5. VIVA / 破壊王英亜
6. ENDLESS TRIP / GINMEN
7. gurubin / hekondadeko
8. FIVE COUNT / YUKSTA-ILL
+ SECRET BONUS TRACK